過払いの手続きは自分でも簡単にできるのですか?

過払いの手続きは自分でも簡単にできるのですか?


A 過払い金の回収は、自分でもできます。ただし、若干の困難と勉強する努力が必要であることは覚悟する必要があります。

 

1 自分自身で取引履歴の開示請求を行う場合


  貸金業法19条の2は、貸金業者に取引履歴を開示する法的な義務があることを定めました。取引履歴の開示拒否は、貸金業の登録の停止、営業の停止等の行政処分の対象となり、また100万円以下の罰金に処せられます。


  大手貸金業者の中には、ホームページで、取引履歴の開示請求の申込書のフォームと必要書類、費用について掲載しているところもあります。


  取引履歴の開示請求書に個人を識別する資料(免許証、印鑑証明書、健康保険証等)のコピーを添えて、請求することで取引履歴の開示を受けることができます。ただし、現在も、たとえば、平成59月以前のデータについて「廃棄した」等の理由により開示しない貸金業者もあります。

 

2 自分自身で訴訟を行う場合


  過払金を請求する者が借り手自身(顧客本人)であると、貸金業者側は甘くみて誠実に対応しない場合もあります。また、過払金の返還に素直に応じることはほとんどありません。


  貸金業者の対応が不誠実で、取引履歴の開示や過払金の返還に応じない場合には、訴訟を提起するほか手段はなくなります。当然のこととして、訴訟を続けるには、専門的な知識と経験・技術が求められます。全取引履歴が開示されており、その取引に空白期間がなく(残高がゼロ円となったことがない)、消滅時効も問題とならない事案であれば、自分で訴訟を遂行することは不可能ではありません。しかし、業者が争う姿勢のときは、弁護士・司法書士に依頼することを検討してください。

 

3 司法書士の代理権の範囲


  法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所の事物管轄の範囲(紛争の対象額が140万円以下)で訴訟代理権を有します。認定を受けているかどうかは、相談した司法書士に直接確認してください。


  司法書士が簡易裁判所に提訴した後、開示された取引履歴を引直計算して過払金元本が140万円を超えてしまった場合には、地方裁判所に移送されることになります。地方裁判所に移送された後は、本人自らが訴訟を遂行するか、新たに弁護士に依頼することになります。


  また、簡易裁判所の判決に不服があり、控訴する場合や貸金業者に控訴された場合には、請求金額に関係なく控訴審では司法書士は代理人となることはできません。控訴審以降は、弁護士に依頼するか、自分で訴訟を遂行することになります。

 

 

 より詳しいことにつきましては、過払金訴訟に精通した弁護士にご相談ください。